概要解説
テレビ CM などでも頻繁に見かける「人事・労務サービス」が、なぜ今必要とされているのか。
ここ数年、Web 業界の優秀な人材が「人事・労務サービス」企業に転職している状況をふまえて、これからの働き方、求められる人材像を解説します。
人事・労務
人事・労務とは、会社のどのような仕事(ポジション)なのでしょうか。
人事
人事の仕事は、企業にとって大切な財産である「ヒト」を生かすことです。
一般的に人事の仕事といえば、新卒採用や中途採用をイメージされることが多いかもしれませんが、
採用業務だけでなく募集・採用から退職に至るまで、社員に関する業務を幅広く行っています。
- 採用計画の立案、新卒・中途の採用活動(人材を採用する)
- 教育・研修(人材を育成する)
- 評価制度の運用・処遇の管理(人材を評価する)
- 人事戦略・人事制度の企画(人事業務の仕組みをつくる)
映画『7つの会議』内のワンシーン
映画『7 つの会議』は、一部上場の大手電機メーカー・ソニックの子会社である中堅電機メーカー・東京建電。
会議の中で役職や職種の違う平凡な社員たちの不作為が作り上げていく不祥事。
社員たちは立場の違いから異なる方法でそれに対峙し、不祥事の全容が明らかになっていく。
労務
労務の仕事は、従業員が安心できる労働環境の管理をしたり、事務的な手続きを行ったりします。
給与計算、社会保険手続き、就業規則管理、勤怠管理、福利厚生業務、健康診断や衛生委員会実施などが主な仕事です。
- 給与計算
- 社会保険料の手続き(健康保険、厚生年金、雇用保険など)
- 入社・退職の手続き
- 労務トラブル対応
- 就業規則の作成(労働時間・給料・休憩時間・休暇・退職時の扱いなど)
働き方改革
厚生労働省が 2019 年に発表した定義によれば、
「働き方改革」とは、働く人びとが、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革
とされています。
具体的な課題として挙げられるのは、
- 長時間労働の解消
- 非正規社員と正社員との格差是正
- 柔軟な働き方の実現
- 高齢者の就労促進
新型コロナウィルス拡大による働き方の変化
さらに、新型コロナウィルス感染拡大によって働き方の変化が加速しました。
- テレワークの拡大
- 労働生産性の拡大
昭和・平成までの働き方
- 年功序列
- 年齢や勤続年数に応じて、役職・賃金を上昇させる人事制度のこと。
- 長時間労働
- 長時間労働という言葉に「何時間以上」といった明確な基準はありませんが、労働基準法第 32 条は労働時間について、「1 日 8 時間、週 40 時間」までと上限を定めています。
これを法定労働時間といいます。 - 第 36 条に基づく労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長へ届け出ることで、その時間を超えての労働、または休日労働をさせることが可能ですがこの 36 協定が形骸化していました。
- 長時間労働という言葉に「何時間以上」といった明確な基準はありませんが、労働基準法第 32 条は労働時間について、「1 日 8 時間、週 40 時間」までと上限を定めています。
- ハラスメント
- ハラスメントとは、相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせることであり、「嫌がらせ」を指します。
- 39 個のハラスメント一つひとつを解説!
令和の働き方
年功序列年令に関係なく、能力があれば昇進・昇給する。- SDGs に基づき、多種多様な人材の活用が求められる。
- ダイバーシティ:性別、人種、国籍、宗教、年齢、学歴、職歴など多様さを活かし、 企業の競争力に繋げる経営上の取組のことを指します。
- 長時間労働での教育ではなく、計画的な教育の仕組み・制度
- ブラザー・シスター制
- ワンオンワン
- セミナー・勉強会の実施
- 研修期間の長期化
- テレワークによる成果主義
- 時間ではなく、成果での評価
- 副業の推進
学生からも「ブラック企業は嫌だ」という話が頻繁にでます。
社会の流れなどから、厚生労働省や企業側の取り組みで、新しい働き方に変化しつつあります。
働き方改革による人事・労務の仕事
多種多様な人物・働き方に対して、いままでの人事・労務の仕事のしかたでは、給与面・待遇面・労働環境面などにおいて、対応ができなくなってきました。
- 入社 10 年目、女性、プロジェクトリーダーで部下にも慕われている。前年のプロジェクト売上社内上位。育児のため時短勤務。
- 入社 5 年目、男性、Web ディレクター兼営業、前年の新規顧客獲得数数社。まだ売上は低いが、社外セミナー登壇など、広報活動も多数。
- 入社 4 年目、男性、エンジニア、人当たりはあまり良くない。会社の売上の 60%を占めるのシステムを構築したメインプログラマ。テレワーク。
上記をどう評価しますか。概要だけでも評価するのが難しそうです。
これに対応するために、IT の力=人事・労務サービスが注目されるようになり、導入されるようになってきました。
メンター評価、社員投票なども導入することで、多面的な評価制度を取り入れている企業もあります。
この流れは、当分変わらないと思われます。
これからの求められる人材像
働き方改革によって、働く側のメリットにばかり目がいきがちですが、企業側も業績低下につながらないように防衛策を考えています。
特に、社員教育の仕組みや制度を効率よく実行し、早めに仕事ができる(成果を上げる)人材になってもらうため、採用する段階で求められる能力や特性が変化してきています。
- 仕事を強制できないため、自分で勉強する力(自走力)で自己開発が必要。
- 自主的に学習できることを証明する。
- 授業以外での作品やブログ記事など。
- 様々な働き方に対応するため、時間ではなく、能力・成果の評価が主流になる。
- 単純に制作物の評価だけでなく、利用技術・フレームワークなど
- ブラザー・シスター制、ワンオンワン導入・人物評価を行うため、コミュニケーション力の重要性が増す。
- 面接だけでなく、普段のコミュニケーション、アルバイト、課外活動への取り組み。
- SNS などの活用
- 単純作業の IT・AI 化のため、人の仕事がよりクリエイティブになります。
- 最新の IT 技術や、これからの DX 社会に対しての知見、意見を持っている。
- 本を読みましょう。
- 前向きに、いい影響を与えられる人。
- 人柄を褒められるような生活
上記+会社に合う人材が、働き方改革後、求められていくのではないかと思います。