概要解説
7 月も終盤となり、8 月になります。 夏休み期間ということもあり、就職活動に専念できる時間が増える時期でもあります。
大学生の就職活動状況
株式会社リクルートキャリアが行う『就活プロセス調書』では、6 月 1 日時点の大学生の就職内定率は73.1%となり、
6 月選考解禁となった 2017 年卒以降最も高くなったと報告しています。
美芸大就活生の状況
一方で、美大芸大就活ナビ利用の学生を対象に行ったアンケートでは、6 月末時点の就職内定率は 35.0%となりました。
Web デザイン学科の進路決定率と差異はそれほどありません。
美術・芸術系の大学は、作品制作が主となりがちで就職活動が遅くなる傾向がありますが、志望職種が原因でもあります。
グラフィックデザイナーが圧倒的に人気になっていますが、業界天気図によると、印刷・出版業界の 2021 年・2022 年の動向は「雨」となっています。
広告業界も「曇り」と決して良い状況ではありません。
業界としては、厳しい見通しとなっているため、新卒採用数が減少していると考えられます。
逆に、情報・通信業界は 2021 年・2022 年ともに「晴れ」となっており、企業の採用ニーズがエンジニアや UI/UX デザイナーなどの Web 系職種の人気も、ますます高まっており、IT 系学科や Web デザイン学科の就職状況も好調となっています。
この状況にともない、美芸大生が Web 系に流れてくることも予想できます。
一般大学生の就活状況
リクルートの就職みらい研究所学生調査モニターでは、大学生・大学院生を対象に「就職プロセス調査」を行いました。
7 月 1 日時点の大学生(大学院生除く)の就職内定率は、83.3%と 6 月 12 日時点から 6.8 ポイント増加し、高い水準で推移しています。
ちなみに同調査によると、進路決定率は、67.6%です。
すでに、上場企業・優良企業の採用活動は終了しつつあり、内定辞退者の補填としての採用活動が動いている状況です。
インターンシップなど、徐々に 24 年度の採用活動に移行している企業もあると思われます。
しかし、確定先企業を見てみると業界天気図では「晴れ」で景気の良いはずの情報・通信業界の採用が昨年よりも減少しているというデータがあります。
これは、企業の採用意欲に対して、上手く求人ができていない状況だと考えられます。
この状況から「まだ内定が決まっていない大学生」「希望の企業から内定がもらえなかった大学生」が、まだまだ採用枠が多い情報・通信業界に流れてくることが予想できます。
営業や内勤など制作ではない職種もありますが、Web デザイナー・Web エンジニアを目指す学生も少なくはないでしょう。
第二新卒、その他
ここ 2 年は、新型コロナウィルスの影響で、求人自体が少なく就職活動が上手くできなかった学生が多い年でした。
その頃に話していたのが「コロナ禍が収まった時に転職を視野に入れられるように」と励ましていました。
感染者は増加しているものの、求人数にまで影響が及ばなくなってきているため第二新卒(一般的に学校を卒業後、一度就職をしたが数年の内に離職し、転職活動をする若手求職者を指します。)として転職活動をしている人も増えている印象です。
Web デザイン学科の夏休みの就活
ここまでの世の中の就活状況を確認すると、概ね、当初の予測通りと考えられます。
すでに 45%まで達成していることから、10 月中旬までの第 2 陣期終了時の、進路決定率 50〜60%は大きくブレることは無いでしょう。
8 月前半まで
授業や課題のない、この長期休暇に今後作り直す必要のない 「強力なポートフォリオ」を準備しましょう。
必要であれば、リニューアル(作り直し)もしてください。
- リニューアル
- 作品の取捨選択
- 新たな作品追加
志望職種に則った作品群
- エンジニア志望者は、コーディング技術、プログラミング力がわかるような作品を制作し、見せ方も考えましょう。
デザイン作品は除くぐらいの潔さは必要です。
- html と css で静的なポートフォリオでは、評価されづらくなってきています。
- 新しい技術に挑戦したり、調べながらも難しいことができる能力が求められます。
- 正確性は当たり前のことですので、プラス α の評価には繋がりません。
- デザイナー志望者は、ポートフォリオのデザイン自体も作品です。作品の見せ方にも工夫をしましょう。
- Web デザイン学科(専門学校)の優位性は、コーディングもできることです。
- Web デザイナーを目指すのであれば、Web サイトを作りましょう。
- 美芸大生の人気からもわかるとおり、競争率が激しい「グラフィックデザイン」での勝負は難しい戦いになると思います。
- 好きなデザイン、得意なデザイン、やってみたいプログラム、使ってみたいフレームワークなどは、ありますか。
9 月以降
- ポートフォリオが充実したら、応募する企業の数を随時 3〜4 社に増やしていきます。
- 結果が出るまでには、1〜2 ヶ月掛かります。
9 月後半から後期授業が始まりますので、9 月中にエントリーしておけば、10 月内に結果がもらえます。
月別内定数の推移
Web デザイン学科 23 年卒は、意識的に就職活動の開始を早めていましたが、結果をみても例年に比べても早期進路決定者が増えている傾向です。
ただ、21 卒・22 卒のコロナ禍の影響で採用活動が滞っていた影響の反発と捉えられます。
情報系はもちろん、ゲーム・CG など他の業界も就職は好調です。今年は、業界就職しやすい年ですので、強気に攻めて大丈夫です。
年/月 | Web業界就職率 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
23卒 (2022) |
100% | +2 | 0 | +2 | +4 | +1 45%決 |
|||||||
22卒 (2021) |
54% | +1 | +1 | +2 | +1 | +1 | +3 | 0 43%決 |
0 | +2 | +3 | +3 | +3 |
21卒 (2020) |
53% | 0 | 0 | +1 | 0 | +3 | +2 | +1 41%決 |
+3 | +1 | +1 | +1 | +2 |
20卒 (2019) |
62% | +2 | +1 | 0 | 0 | +1 | 0 | +4 62%決 |
+1 | 0 | +1 | +1 | End |
注目は、「10 月末の進路決定率」と「最終 Web 業界就職率」の差がそれほどないことです。
10 月末を過ぎてしまうと、業界への就職が難しくなるという証拠です。
理由としては、
- 新卒求人の減少
- 学生のモチベーションの低下
- 作品・面接の決定的な実力不足
- 後期授業との両立が難しいため
が上げられます。
一概には言えませんが、ずるずると年明けまで Web 業界への就職活動が続いてしまう人は、決断力が低い傾向にあります。
「よし、絶対に Web デザイナーになろう」
「今のままではダメだ、ポートフォリオを作り直そう」
と決断し、夏休み期間に行動できれば、Web 業界に向けての就職活動期間を伸ばしても、結果はでると思いますが、夏休みを無駄にすれば、Web 業界は難しいと言わざるを得ません。